北海道:岩屑なだれでできた知床五湖(堰止湖)
地形の特徴

火山地形,堰止湖,山体崩壊,岩屑なだれ,流れ山

地形の三次元イメージ : 知床五湖と知床硫黄山

今から約4千年ほど前,「知床硫黄山」を中心とする火山で「山体崩壊」による「岩屑なだれ」が発生し,「知床五湖」が形成されました。
その時の火口は,現在の「硫黄山」,「知円別岳」,「南岳」と「1351m峰」を結んだもので,知床半島で最大の火口と言われています。
地形の三次元イメージ : 知床硫黄山と知床五湖

「硫黄山~南峰~(知円別岳)~南岳~1351m峰」の間で発生した「山体崩壊」による「岩屑なだれ」は,
西北西方向に流下し,「イダシュベツ川」を超えて「五湖の断崖」まで達しました。
現在の,イダシュベツ川の本流と支流の形状は,岩屑なだれが起きてからの侵食によるものとなります。
地形断面図 : 五湖の断崖~知円別岳付近

岩屑なだれは,土石流などと同じで,極めて流動性が高いのが特徴です。
まず,「古イダシュベツ川」を埋め,更にそれを乗り越えて五湖までやって来たのです。
現在の「イダシュベツ川」が浅いのは,岩屑なだれの発生から4千年しか経過していないためでしょう。
地形(標高段彩図)の三次元イメージ : 流れ山と知床五湖

「知床五湖」の周囲に,小さな凸状の丘が点在しており,これらは「流れ山」であると考えられています。
地上写真 : 知床硫黄山~南岳の山体崩壊地形

約4千年前頃,硫黄山~南峰~(知円別岳)~南岳~1351m峰の間が崩壊し,岩屑なだれとなって「知床五湖」まで押し寄せました。
「ナマコ山」は,崩壊後に活動・成長した「溶岩円頂丘(ドーム)」です。
【記事,引用情報と参考情報】

【知床硫黄山と知床五湖などについて】

  • 「五藤ほか(2007)」によると,第四紀完新世の約4千年前頃に, 「知床硫黄山~知円別岳~南岳~1351m峰」間で,「山体崩壊」が発生しました。
    崩壊した土砂は「岩屑なだれ」となって西北西方向に流下し,「五湖の断崖」にまで到達し,なだれの末端部では複数の「流れ山」ができました。
    流れ山と流れ山の間は凹地となり,そこに雨水などが溜った結果,「知床五湖」ができたのです。 分類上は「堰止湖」となります。
  • 崩壊の直後,山体崩壊のほぼ中央に「溶岩円頂丘(ドーム)」が出現し,後に「ナマコ山」と名付けられました。
  • 1889年・1890年および1935年・1936年: 西側中腹の側火口から火山灰,「溶融硫黄」や「熱水」が噴出しました。
    後者の噴火では,20万トンにも及ぶ硫黄が噴出したことが知られています。

【知床五湖の溶岩について】

  • 産総研・地質調査総合センター発行の 1/5万 地質図幅「羅臼・知円別」には,「五湖の断崖」自体を形成した溶岩は,硫黄山由来ではなく「羅臼岳」由来であると表記されています。 第四紀後期更新世の頃,とされているので,今から数十万年の昔でしょうか。

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