孔口の高さ(標高)に疑問のある事例
CaseD_04

 出典 : 福岡市Webまっぷ    「地下鉄七隈線」に関連するボーリング柱状図に記載された孔口標高が100mを超えており,現況と大きく乖離していると思われくました。

【疑 問 点】

  • (1)のように,国土地理院から公開されている「標高タイル」を使用して「標高段彩図」と「地形断面図」を作成してみたところ,各ボーリング柱状図に記載されている「坑口標高値」は,現況と明らかに異なっていることが判明しました。
  • 一方,『福岡地下鉄七隈線延伸工事現場における道路陥没に関する検討委員会,報告書・委員会資料(土木研究所)』には,福岡市が独自に定めた「施工基準面」の存在を示唆する記述が掲載されています。
    すなわち,図(2)から,地下鉄工事基準面の100mが標高(T.P.:東京湾中等潮位)の0mであると読み取れるのです。
  • 七隈線関係のボーリング柱状図では,例えば,坑口標高として「TP=103.592m」のように,この値は標高であると明示しているのですが,実際は地下鉄の工事基準面からの差が公開されているのです。
  • 電子納品要領では,この欄は数値のみの標高値を入力するとなっているため,単純に「3.592」とすべきでした。

【利用に際しての助言】

  • 福岡市営地下鉄七隈線に関連して実施された地質調査結果を有効(二次利用)利用する場合,高さの基準が「仮にT.P.」と記載されていても,実際は「地下鉄の工事基準面」であることに留意する必要があります。
  • 疑問がある場合は,国土地理院の「標高データ」を参照してください。
  • 日本国内であれば,本ウェブサイトが管理運営している「位置座標読取り・確認・移動ウェブサイト」(下記)で,標高とともに緯度・経度を取得することができるため,大いに利用されたい。

【引用・参照情報】

【最新の状況】

  • 2024年10月中旬現在,従前どおり公開されています。
CaseD_01

 出典:「国土地盤情報検索サイト-KuniJiban-」    柱状図に記載された孔口標高が現況と合っていません。

【問題点】

  • 図(A)に示すように,メタデータとして表示されている孔口標高は「14m」でした(柱状図も同一値でした)。
  • しかるに,地理院地図に表示されている標高は、50m程度離れた場所で「2m」が表示されており,両者は整合が取れていません。

【試行・検討】

  • 国土地理院の標高タイルを使用する「標高を推定するウェブサイト」を利用して掘削地点の標高を調査すると,図(B)のように「2.9m」が得られました。
  • ボーリングデータに記載されている孔口標高は間違っていると思われます。

【最新の状況】

  • 2024年10月中旬現在,従前どおり公開されています。
CaseD_02

 出典:徳島県地盤情報検索サイト-Awajiban  孔口標高の基準がT.P.ではない。

【問題点】

  • 一つのマーカーに2本のボーリングが関連付けられています。近傍箇所で2本以上の孔口が存在する場合に,このような事象が散見されます。
  • メタデータ(情報窓)には標高は表示されていませんが,柱状図本体には標高が記載されている。
  • No.1の孔口標高は「DL 34.57m」と記載され,No.2の孔口標高は「DL 34.83m」と記載されています。しかし,いずれも地理院地図の標高とは不整合です。

【試行・検討】

  • 国土地理院の標高タイルを使用する「標高を推定するウェブサイト」を利用して掘削地点の標高を調査すると,「59.2m」という結果が得られました。
  • 徳島県の仕様書を参照して「DL: Datum Line」の値を調べると「DL= T.P. - 0.978m」であり,標高タイルによる標高値とは整合性はありませんでした。
  • 次に,東京都千代田区に存在する日本水準原点の値「DL: Datum Level」の値を調べると「DL = T.P.+24.414m,調査当時の値」となって,標高タイルによる標高値に近い値が得られました。

【提言】

  • 「DL」には二つの種類があって紛らわしいので,「T.P.」に統一すべきです。

【最新の状況】

  • 2024年10月中旬現在,従前どおり公開されています。
CaseD_03

 出典:かごしま地盤情報閲覧システム  孔口の標高が明らかに現況と合っていません。

【問題点】

  • 情報窓には標高値は表示されていませんが,柱状図には「9.27m」と記載されています。
  • しかし,当該団地は台地上に建っていることから,この高さが本当に標高(T.P.)であるかどうか疑問が生じました。

【試行・検討】

  • 国土地理院の標高タイルを使用する「標高を推定するウェブサイト」で標高の値を調査すると「175.5m」という結果が得られました。
  • 従って,柱状図に記載されている孔口標高の値は「標高」ではなく,恐らく「K.B.M.」からの比高であると推測できます。

【提言】

  • ボーリングデータにはローカル座標値を入力する欄があるので是非活用し,て標高欄には本当の標高(T.P.)を入力すべきです。

【最新の状況】

  • 2024年10月中旬現在,従前どおり公開されています。