ボーリングの位置情報そのものにエラーがあると想定される事例
CaseC_01

出典:国土地盤情報検索サイト-KuniJiban-。 図(A): 陸上のトンネル調査なのに,海上に2個のマーカーが表示されている。
図(B): 海上のマーカーから等緯度線ならびに等経度線を記入してみた。

【問題点】

  • 陸上のトンネル調査にも係わらず,地図上では海上ボーリングが2箇所で実施されたように表示されています。
  • 調査目的が「トンネル調査」であることから,これら2箇所の孔口の位置情報(緯度・経度)は間違っていると判断できます。

【試行・検討】

  • 図(B)に,孔口位置から延びる等緯度線ならびに等経度線を記入してみました。 ボーリングデータに記載されていた孔口の標高も併記してあります。
  • 「KT52397533001」孔の標高は「20.5m」なので,図(A)の位置は確実に間違っており,経度の値の誤りの可能性が高いと考えられます。
  • 「KT52397532007」孔では,ボーリングデータに標高が不記載だったので,実際に掘削された場所の推定はほぼ不可能ですが,少なくとも経度だけは正しいかもしれません。

【提言】

  • 以上のように,本当の掘削位置を知ることは難しいので,本トンネルのボーリング情報を二次利用する際には,これらの2孔は除外すべきでしょう。

【最新の状況】

  • 2024年10月中旬現在,従前どおり公開されています。
CaseC_02


出典:国土地盤情報検索サイト-KuniJiban-
当該案件のボーリングは3本であるが,1本は大きく離れており,更に孔口標高が地理院タイルの等高線と大きく異なっています。

【問題点】

  • 3本の掘削位置を地図に反映させると,②と③の2本は山鹿市内の日置地区にマークされ,他の1本(①)は遠く離れた阿蘇市域の山中にマークされました。
  • 「BEDQS549303788001」に記載された標高は「24.57m」なのですが,地理院地図ではマーカー付近の等高線は「860m」となり,大きく離れています。

【試行・検討】

  • 当該業務で得られた全ての柱状図(部分,加工)を,図(D)~図(F)に示します。
  • これら3本には「地層構成」や「N値」に類似性が認められることから,お互いが近くで実施されているものと推測されます。
  • 「阿蘇市域であることを示す経度の値は間違っている」と判断すべきであって,その原因としては地形図から座標値を読み取る際,あるいは計算ミスなどが考えられます。

【最新の状況】

  • 2024年10月中旬現在,従前どおり公開されています。

出典:国土地盤情報検索サイト-KuniJiban-  全て近傍で実施されたように思われるが,右の1本だけが遠く離れている。 おかしい?
CaseC_03

出典 : 統合化地下構造データベース-Geo-Station(長崎県・土木部)

【問題点】

  • 海に近く沖積層であるため標高は低いはずなのに,ボーリングデータに記載されている孔口標高は「+51.23m」でした。
  • ちなみに,国土地理院の「標高タイル」では「3.2m」でした。
  • 地図上の位置か゜長崎市内であるにもかかわらず,ボーリングデータに記載されている住所は「旧西彼杵郡大瀬戸町(現西海市大瀬戸町)」となっています。

【試行・検討】

  • 長崎県内には,「長崎市内」と「西海市内」を流れる,全く異なった2つの「多以良川」が存在します。
  • 「GeoStation」で公開されている掘削位置と座標値は,長崎市内を流れる多以良川の右岸を指しています。 しかし,孔口標高は現況と調和していません。
  • 一方,西海市内を流れる多以良川には「上多以良橋」が存在し,国土地理院の地理院タイルでは,右岸での標高推定値は51.9mとなっています。
  • 「Geo-Station」に登録するために掘削位置を入力する際に,河川名を間違えて位置座標を読み取った可能性があります。

【最新の状況】

  • 2024年10月中旬現在,従前どおり公開されています。