2013年10月 伊豆大島で発生した大規模な浅層崩壊(表層崩壊)
火山地質図と発災直後の空中写真の三次元イメージ
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  • 2013年(平成25年)10月,台風26号に伴う豪雨により,伊豆大島では1日間に800mmを超す大雨が降りました。
  • 降り始めから約14時間後に,伊豆大島火山(外輪山)の西北斜面で大規模な「浅層崩壊」が発生しました。
  • この付近には,1338年に噴火・流出したとされる「Y5L溶岩:元町溶岩層とも」や,地元で「レス層」と呼ばれている「降下火山灰の風成層」が分布しており,最上位の地表には「火山灰(砂)層」が堆積しています。
    火山地質図には,「Y5L」の上位に堆積しているハズの「風成火山灰層:レス層」は,記載されていないようです。
  • 「国総研資料第875号」では,浅層崩壊の原因は レス層がすべり面となって上位の表土層が崩壊した(滑り落ちた)と,推察しています。
浅層崩壊の概況
  • 1338年に噴火した元町溶岩層の上には,堆積した水を殆ど通さない「レス層(下記)」があり,表土としては三原山の噴火による「降下火山砂(水を通しやすい)」が堆積しています。
  • 植物の根系は,レス層(不透水層)は硬いので侵入できず,表土層の中でのみ生育するので,土砂を止める杭としての作用は殆ど期待できません。
  • 根系は枯れると「パイピングホール」を形成することが有りますが,この崩壊現場でも実際に確認されています。
  • 多くの調査報告書を総合すると,浅層崩壊の原因は,連続雨量800mmを超える大雨とレス層の遮水効果によって表土層の地下水位が急激に上昇し,表土層の最下面に「みずみち」が形成されたため摩擦係数が低減し,表土層-レス層の境界面をすべり面とする浅層崩壊が発生した,に集約されます。
  • レス層 : 降下火山灰の風成層(一度堆積した火山灰の細かい粒子が風で舞い上がり,地表に少しづつ降り積もってできた土)のことで,「関東ローム」や「黒ぼく」と呼ばれる方がなじみがあります。 中国からの「黄土」もレスの一種です。
  
降水量・土壌雨量指数について

連続雨量:824mm(10/15~10/16) 最大時間雨量:119mm (10/16 04:00)
最大土壌雨量指数:483 (10/16 05:00) 発災時刻:10月16日 2時頃
  • 「2013年10月 伊豆大島土砂災害」の特徴としては,なんといっても短時間に降った雨の多さです。
  • 「アメダス伊豆大島」の記録では,降り始めから約24時間の間に824mmの連続雨量が観測され,土壌雨量指数も最大で480を超えるという,膨大な雨が降ったのです。
  • 諸資料をまとめると,浅層崩壊の発生時刻は10月16日の御前2時頃です。
    この時刻においては,連続雨量で約370mm,土壌雨量指数で約260という値が得られています。
  • 降り始めが15日の正午とすると,崩壊までの時間は14時間強となりますが,身に危険が迫った時刻が深夜に掛かるころなので,避難するにしても大変な勇気が必要だったろうと推察します。
【引用情報・参考情報】

【引用情報】

【参考情報】