2011年9月 台風12号による五條市の深層崩壊(赤谷,河原樋川,長殿谷)
地形図と地質図の三次元イメージ:五條市赤谷,河原樋川,長殿谷
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  • 2011年9月4日16時20分過ぎ,台風12号による豪雨のため「赤谷」右岸の斜面上部で「深層崩壊」が発生しました。
  • 土石流化した崩土は,赤谷の河道を閉塞して,高さ約65mの「天然ダム」を形成しました。
  • 湛水・崩壊による被害を防ぐため,緊急放流とともに対策工事が行われました。
  • この豪雨では,赤谷の近傍で「河原樋川」と「長殿谷」でも,同じような深層崩壊が発生増した。
    それぞれ天然ダムが形成されましたが,中でも長殿谷の天然ダムは規模が大きく,現在でも川水を溜め続けているようです。
  • 地質図幅『和歌山』によると,3箇所の地質は中生代後期白亜紀に海洋底で堆積した「四万十帯日高川層群美山層」で,これらは「付加体」です。
層崩壊の状況:赤谷の深層崩壊

最新の空中写真です。

発災当時の空中写真と地形の説明です。
  • 崩壊長:約850m,高さ:約600m,最大幅:約460m,崩壊土量:約1,138万m3 (資料:国土交通省)。
  • 国土交通省によると,2025年2月時点で対策工事が進み,「天然ダム」と「ダム湖」は消滅している,とのことです。
深層崩壊の状況:河原樋川(清水地区)の深層崩壊

最新の空中写真です。
  • 崩壊長:約350m,高さ:約25m,幅:約220m,崩壊土量:約160万m3 (資料:国土交通省)。
  • 緊急対策工事によって,崩壊斜面の安定化工事などが完成しているそうです。
深層崩壊の状況:長殿谷の深層崩壊

最新の空中写真です。
  • 崩壊長:約650m,高さ:約4 00m,最大幅:約340m,崩壊土量:約595 万m3 (資料:国土交通省)
  • 国土交通省によると,2025年2月時点で「天然ダム」と「ダム湖」は存在しているので,対策工事を行っている,とのことです。
降水量・土壌雨量指数について

参考のために,半月以上前からの雨量の状況を図化しました。連続雨量と違って,雨量ゼロによるリセットをしていないので「累積雨量」としました。
  • 特徴1 赤谷地区と長殿谷の深層崩壊は,最大時間雨量を示した時刻(3日1時)よりも,1日以上経過した時に発生しました。
  • 特徴2 土壌雨量指数が200を越えて(2日5時頃)から2日以上経過したのちに崩壊が発生しました。
  • 特徴3 台風12号の大雨では,表層崩壊は殆ど発生していなかったか,深層崩壊に比べて目立たなかったようです
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 災害調査を行った「奈良県の報告書(2015)」によると,これらの深層崩壊にほぼ共通する特徴は,以下の3つであるとされています。
     北向き斜面(流れ盤構造)であること
     尾根部が緩斜面であることと
     発生以前に崩壊跡が存在
  • 流れ盤構造ということは,地層の傾斜が地表の向きと同じく北であることを意味しており,極めて崩壊しやすい地盤と言えます。
  • 「尾根部が緩傾斜」と「崩壊跡が存在」は,共に崩壊しやすい地形の特徴を表しています。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,従来サイト「土砂災害と雨量について 2011年9月 奈良県五條市 赤谷地区 深層崩壊の例」として公開していたページを,改題の上,最新の知見を基にして内容を更新しました。