1998年9月 高知豪雨による内水氾濫と深層崩壊の発生
高知市中心部などの標高段彩図と標高2m未満図
標高段彩図上で1回クリックすると,事務局が独自に作成した「標高2m未満図」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。
  • 高知市は,ほぼ東西に連なる2列の山地に挟まれている,広範囲な「沖積低地」に造られました。
  • 新国分川の西側(右岸側:高知駅のある方)よりも,東側(左岸側)の方が総じて標高が低いという特徴があります。
    特に,国分川の最下流部に隣接する布師田地区と高須地区,五台山~鉢伏山間の高須東町地区や下田川左岸の五台山(地名)地区などでは,一部が「海抜ゼロメートル地帯」となっています。
  • 標高2m未満の土地を青色で彩色した「標高2m未満図」によると,ほぼ全ての河川には標高が2mより高い堤防が築かれており,住居や,場用地や田畑などはそれに囲まれていることがわかります。
  • 「輪中の現代版」と言える構造物で,低い津浪,高潮や川の増水には耐えられるのでしょうが,低い土地自体に降った大量の雨や五台山や鉢伏山,あるいは背後の台地から流れてくる雨水が堤防の内側に溜ってしまうので,排水ポンプの能力以上の雨が降ると「内水氾濫」が起きてしまいます。
  • 1998年9月の豪雨の時に発生した内水氾濫は,このような土地の事情に起因していたのでは,と想像しています。
1998年高知豪雨による 国分川と舟入川流域の内水氾濫
  • 1989年9月の「高知豪雨」では,国分川と舟入川流域の広い範囲で,「内水氾濫」が発生しました。
  • 「高須浄化センター」付近では,建物の1階にある窓や,建物に入る入口が水没しているように見えます。
98高知豪雨の浸水実績図と最新の洪水浸水想定区域図
  • 高知市から公開されている「浸水実績図」を参照すると,標高が1mより低い範囲に浸水が発生していました(例外もあります)。
  • 特に,高知県立美術館や浄化センターが立地する高須地区では,最大水深は2mを超えていたようで,県警本部撮影の空中写真と整合しています。
  • この付近の標高は,-0.5mよりも若干低いことがわかっています。
  • 川の堤防で囲まれている土地(現代版輪中)の場合,川の水嵩(かさ)が土地よりも高くなってしまった上に,停電などで川への排水ポンプが停止すると,常にこのような状態になることを理解したうえで,生活する必要があります。
    大変でしょうが。
地形図と地質図の三次元イメージ:高知市南西部

20万分の1 地質図幅『高知(第2版)』の主な凡例は,ここをクリックしてください。 別ウィンドウで表示します。
  • 「1998年9月 高知豪雨」では,市街地の南側の衝立となっている尾根で,「深層崩壊」とそれによって誘発された「土石流」が発生しました。
  • 深層崩壊が発生した場所は,「宇津野山(258m)」から東にのびる尾根の北側斜面の最上部,遷急点直下と思われます。
  • 20万分の1地質図幅『高知(第2版)』によると,崩壊地の地質は白亜紀の付加体(新荘川層群,砂岩)で,一方土石流の堆積地の地質は後期ジュラ紀~前期白亜紀の秩父帯に属する混在岩とされています。
  • この部分に特に強く雨が降ったのでしょうか。 尾根の他の場所では崩壊が発生しませんでした。
深層崩壊の状況
  • 「深層崩壊」は,ほぼ東西に走る尾根の北側直下(A付近)で発生しました。 この場所から小さな枝尾根(B)が延びていますが,その付け根のやや上あたりです。
  • 土石流となった崩壊土砂と水は,枝尾根を挟んだ二筋の小さな谷に分かれて流れ下りましたが,下流にある砂防ダムの手前で合流しました。
  • 水分が多くなかったようで,「土石流堆積物」は砂防ダムの下流で止まりました(土砂流と洪水流の先端位置は不明です)。
古地形図との比較
  • 過去の地形図(古地形図)を参照してみると,この「深層崩壊」が発生した場所のすぐ近くには,かつて「宇津野越路」という道路が存在しました。 ただし,1998年時点では廃道になっています。
  • 現時点で,この道路(跡)が深層崩壊にどう影響を与えたかについては,わかっていないようです。
降水量・土壌雨量指数について

参考のために,半月以上前からの雨量の状況を図化しました。連続雨量と違って,雨量ゼロによるリセットをしていないので「累積雨量」としました。
  • 特徴1 最大時間雨量を示した時刻と,深層崩壊(土石流)が発生した時刻は,ほぼ同時でした。
  • 特徴2 土壌雨量指数が200を越えてから,深層崩壊(土石流)が発生するまでの時間差は,4時間程度であったと推察されます。
【参考】1998年9月高知豪雨の特徴(独自解釈)
  • 「アメダス高知」,「アメダス繁藤」と「アメダス御免」の土壌雨量指数のグラフがよく似ています。 すなわち,相関性が高いと言えます。
  • よって,高知,繁藤と御免での雨の降り方はほぼ同じであった,と考えてよさそうです。
  • 上記3箇所供,同じような雨の降り方でしたが,深層崩壊・土石流は「高知市孕西地区」でのみ発生しました。
  • 土砂災害は,雨の降り方だけではなく,他の要因が加わって発生すると考えられています。
  • 他の要因とは,地質・土質,傾斜,植生,透水性の程度(透水係数,土壌雨量指数など),地下水の深さ,人工物の影響,などなど。
    ・・・,項目が多すぎます。
【引用情報・参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,従来「1998年9月 高知豪雨における土砂災害と内水氾濫」として公開していたページを,改題の上,最新の知見を基にして内容を更新しました。