岐阜県:養老山地東山麓(南部)の複合扇状地と天井川
地形の特徴

養老山地,養老断層,扇状地,土石流,天井川

地形と断層の三次元イメージ : 海津市南濃町付近の養老断層
三次元地形図上で1回クリックすると,国土地理院の「都市圏活断層図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。
  • 活断層である「養老断層」は,西側(図の上側)隆起の逆断層です。
    断層の角度が急角度のため,養老山地はその角度を保ったまま現在も隆起を続けています,
  • 当然,分水界や侵食前線も上昇を続けるために,侵食力と運搬力は常に強いままに保たれると考えられます。
  • 「羽根谷」,「山崎北谷」や「盤若谷」など,谷の出口には土石流のたびに押し出されてきた土砂が堆積してできた「扇状地」が形成されています。
  • また,山麓に拡がる「段丘面」は,かつての扇状地です。 断層による隆起の結果「離水」して段丘面となり,それをそれぞれの谷が再侵食しています。
地形の三次元イメージ : 羽根谷の扇状地
  • 「津屋川」が「揖斐川」と合流するあたりに,「羽根谷」が押し出した土砂による広大な「扇状地」が存在します。
  • これらの土砂は普通の雨量時ではなく,大雨の際にしばしば発生したと思われる「土石流」で運ばれてきたものでしょう。
  • 扇状地の北半分程は,既に「離水」しているとのことで,都市圏活断層図では「下位(低位)段丘」に区分されています。
  • 地形図上の地図記号から,扇状地を流れる羽根谷は「かれ川(谷)」であることがわかります。
  • 扇頂部までは川水が存在することがわかっているので,透水性の良い扇状地に浸み込んでいるのですね。
地形の三次元イメージ : 山崎北谷の扇状地
  • 「美濃山崎駅」のすぐ北側を流れる「山崎北谷」が作った扇状地の先端部には,養老鉄道線を通過させるための「アンダーパス」があります。
  • この場所は,扇状地の地形「遷急線」のすぐ下流側の急傾斜部に該当します。
  • かれ川である山崎北谷に洪水が押し寄せる際に,河道の傾斜を均等にするために「天井川区間」が必要だったと思われる場所です。
  • そこに,丁度鉄道が通ったと考えられますが,考えすぎかもしれません。
地形の三次元イメージ : 盤若谷(はんにゃたに)の扇状地
  • 盤若谷は,やや北に偏った形の扇状地を形成しました。 そして,この北側に最も新しくできた「自然堤防」があり,かれ川(盤若谷)が存在しました。
  • 「盤若谷扇状地」の先端部には,鉄道と国道を通過させるための「アンダーパス」があります。
  • 養老山地は盤若谷の南約5kmで消滅します。
  • そのため,養老山地の谷は浅くなると共に,濃尾平野への出口に形成した「扇状地」の面積も次第に狭くなります。
  • しかし,扇状地を流れる川のほぼ全てが「かれ川(谷)」なので,扇状地の材料は透水性の高い土砂であることは間違いないでしょう。
地形の三次元イメージ : 山崎北谷の天井川部分
  • 「山崎北谷扇状地」の先端部,鉄道路線の周辺だけに「天井川」が存在します(正確な区間は未調査です)。
  • 1988年~1989年に発行された古地形図には鉄道線路の記号が無く,1932年の古地形図に鉄道線路と「隧道記号」が記載されています。
  • 自身が形成した扇状地を流れる山崎北谷は,扇頂部では谷地形(連続凹地)を流下する一方,先端部では尾根地形(連続凸地)上を流れています。
  • 「自然堤防のために」周囲より若干標高の高い山崎北谷を鉄道が越すために,トンネル(隧道)が掘削されたのでしよう。
  • 5mDEMによる推定標高値によると,鉄道の路盤に対する堤防の高さは10mほどありそうですが,河床に対する堤防の高さは1m程しかありません。
  • 天端の高さが不足したのでしょう,鉄道の路盤を周囲の地盤から掘り下げてあります。
地形の三次元イメージ : 盤若谷の天井川区間
  • 「盤若谷扇状地」の扇端部にも「天井川」が存在しますが,標高段彩図と地形図を参照すると国道及び鉄道と交差する場所周辺に限られているようです。
  • 1988年~1989年に発行された古地形図には鉄道線路の記号がありませんが,扇頂部から扇央部にかけて堤防記号が記載されています。
  • 1932年発行の古地形図では,鉄道線路が記載されると共に,扇端部の尾根状地形(連続凸地:赤矢印)の部分に「隧道」記号が記載されていることから,この隧道の完成によって「天井川」になった,と想像します。
  • 一方,国道258号の場合,1976年~1980年発行の古地形図で初めて「盤若谷」を越す記号が出現しました。 構造は「水道橋」です。
  • 鉄道も国道も,天端の高さが不足したようで,路盤を周囲の地盤から掘り下げてあります。
【記事・引用情報と参考情報】

【記事】

  • 「養老断層」は,岐阜県垂井町を北限とし,養老山地の東縁沿いに南下して三重県の桑名市付近で伊勢湾に入り,「伊勢湾断層」となって伊勢湾を縦断して知多半島沖に向かう「活断層」です。
  • 断層活動は依然として続いていて,養老断層を境にして西側である養老山地は相対的に隆起し,東側の濃尾平野は相対的に沈降を続けています。
  • 養老山地自体に着目すると,養老断層に接する東側の隆起量は大きいのですが,養老山地の西側は断層から離れるにつれ隆起の量は小さくなります。
    (山地の東側が隆起すると西側の傾斜も大きくなりますが,傾動の回転軸も山地の西側にあるので,傾斜の増え方はそれ程でもありません。)
  • まとめると,養老山地の東側は,断層の角度に順じて「急傾斜」なのですが,養老山地の西側は「緩傾斜」となります。
  • 養老山地の東側が隆起することにより,流域面積は次第に増え,谷を流れる水量も増えるでしょう。
  • 土石流が発生した場合には,押し出される土砂も次第に増えることとなり,谷の出口付近に多くの扇状地を発達させました。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】