平成30年北海道胆振東部地震:厚真町等で発生した崩壊性地すべり(斜面崩壊)
 地形図と斜面崩壊・堆積分布図の三次元イメージ:北海道厚真町付近
三次元地形図上でマウスクリックすると「斜面崩壊・堆積分布図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

  • 2018年9月6日午前3時杉に発生した「 平成30年北海道胆振東部地震」によって,北海道厚真町及びその周辺では広範囲な「崩壊性地すべり」が発生しました。
  • 厚真町を流れる「厚真川」の両岸に位置する山地斜面,とりわけ厚真町富里地区~吉野地区にかけて厚真川に合流する「枝谷」を構成する山地斜面は,ほぼ全ての表土がすべってしまった,と言えるくらいです。
 斜面崩壊・堆積分布図と地質図の三次元イメージ:北海道厚真町付近
斜面崩壊・堆積分布図上でマウスクリックすると「5万分の1 地質図幅『早来』(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

5万分の1 地質図幅『早来』の主な凡例は,ここをクリックしてください。 別ウィンドウで表示します。
  • 南北方向に長い楕円形をした「振老層(F1,F2)」は他の地層よりも上位にあることから「頗美字[はびう]ドーム」と呼ばれており,そのほぼ中央には「背斜軸」が推定されています。
  • 頗美字ドームの外側には,年代の新しい「軽舞層(K1,K2,K3)」が取り巻くように分布しています。
  • 地質図幅『早来』によると,いずれも新第三紀 中新世(約1,400万年前)に海底で堆積した砂や泥が固まってできた堆積岩です。
  • ただし,「千木良(2019)」によると,これらの堆積岩は地表面を形成してはおらず,すべり面より下位のいわゆる「基盤岩」とのことです。
  • 表層の地質は,南部は「樽前火山」からの,北部は「恵庭火山」からの降下火山灰(軽石・火山灰など)」が,いずれも2m無いし3m堆積しており,この地震で崩壊(地すべり)を起こしたのは,この層である,とわかってきました。
空中写真(1):
  • 「厚幌ダム」より右側は「地形図」の右側(東側)範囲外です。
  • 崩壊は,ある範囲の中に集中しているように思えます。 例えば,「厚真ダム湖」のマークから「頗美宇川」のマークの間に拡がる場所などです。
空中写真(2):
  • この写真に写っている範囲が,最も斜面崩壊の密度の高かった場所の一つで,「頗美宇ドーム」の範囲にほぼ一致しているようです(事務局の感想)。
  • 地表には,「振老層(F1,F2)」と「軽舞層(K1,K2,K3)」が分布しています。
空中写真(3):
  • 「厚真川」・「頗美宇川」と北側の「知決辺川(チケッペ川)」間の拡大写真です。
  • 「表層」が全て崩壊してしまった尾根の多いことに驚かされます。
  • 一方,「近悦府川(チカエップ)」のマーク付近のように,全く崩壊が起きなかった範囲もあります。
  • 揺れの大きさが場所によって違ったのか,表層~深層の地質(地盤の性質)が違ったのか,のいずれかと思います。
空中写真(4):
  • 厚真川の枝谷「東和川」などの流域も,崩壊密度の高かった場所になります。
  • 尾根直下から谷筋まで斜面がゴッソリ崩壊してしまったところと,崩壊したのは尾根直下だけで下流側は「土石流」の跡のような状況となっているところに分かれるようです。
空中写真(5):
  • 多くの民家が押しつぶされた「吉野地区」の拡大図です。
  • 崩壊した南側の斜面は急傾斜で,反対の北側の斜面は極端な緩傾斜となってるので,局所的な「ケスタ地形」のようにも思えます。
  • この急傾斜は,かつて厚真川の側方侵食によって形成されたのかもしれません。
空中写真(6): 立体視用ステレオ写真

ここをクリックすると,立体視しやすいように縮小した写真が開きます。
  • 偶然撮影できたステレオ写真です。
  • 表示している写真を立体視するには「実態鏡」が必要になるので,裸眼で立体視できる方は「両眼の間隔に調整した縮小写真」をご利用ください。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • この空中写真は,2018年9月21日13時過ぎに,現場上空を通過した全日空機(NH09便,JFK→NRT)から偶然に撮影したものです。
  • 座席前の航空地図によると,飛行高度は13,000mとのことでした。
  • ズームレンズを装着した一眼レフカメラ(APS-C)を使用し,焦点距離は35mm版カメラ換算で80mm~150mmでした。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,「自然災害の記憶:地震災害-043」との掲載内容の重複を解消するため,同ページを吸収・統合すると共に,最新の知見を加味して再編集しました。