平成28年熊本地震:阿蘇大橋付近の斜面崩壊
地形図と地質図の三次元イメージ:旧阿蘇大橋とその下流
三次元地形図上でマウスクリックすると「5万分の1 阿蘇火山地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。
5万分の1 阿蘇火山地質図 の主な凡例は,ここをクリックしてください。 別ウィンドウで表示します。
  • 2016年4月14日21時26分,熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し,益城町で震度7を観測しました。 これが本震と思いきや,
  • 2016年4月16日午前1時25分,再び熊本地方を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し,益城町と西原村で震度7を観測しました。
  • 一連の大地震により,熊本県を中心として未曽有の被害が発生し,後に「平成28年熊本地震」と名付けられました。
  • 4月16日の地震は「本震」とされていますが,この本震によって国道325号に架かる「阿蘇大橋」が崩落しました。
  • 当初は,裏山の斜面が崩壊(崩壊性地すべり)によって発生した膨大な土砂に押し流されたと言う説が有力でしたが,「黒川」沿いに走る断層がずれたために阿蘇大橋が崩落したことがわかりました。
地震直後の空中写真 : 阿蘇大橋背後の急傾斜地で発生した崩壊性地すべり[地点A]
  • 斜面崩壊の原因が,阿蘇大橋の崩落と同様に「黒川沿いを走る断層が動いたため」の可能性があります。
  • 崩落してきた土砂は,黒川を越えることは無かったようです。
地震前後の二次元空中写真の比較

現在公開されている標高は,地震後の測量結果です。  震災前の写真とは整合性が取れなかったので,これらの写真では標高は使用していません。
  • 崩壊後の空中写真を注視すると,流れた跡が数条存在するようですが,どの流れ(条)が最初でどの流れ(条)が最後かはわかりません。
  • これらの流れの源頭は隣接してはいるようですが,全て異なっています。
  • ドミノ式にすべったのでしょうか。
【参考】崩壊地の地形断面と発生した事象について
  • 源頭部付近の傾斜は40度を超えており,水平距離で400mまでの傾斜は,急傾斜地の定義である30度を超えています。
  • 「崩壊性地すべり」は,標高700m強の遷急点付近を源頭部として発生し,水平距離約700m,比高約400mの斜面を流下して「黒川」にまで達しました。
  • 遷急線直下の急崖部の下はやや谷地形のため,土砂が流下する過程でこの谷部に集まってきたように思います。
地震直後の空中写真 : 地震による国道の崩壊[地点B]
  • この付近の斜面崩壊は,黒川の右岸側に集まっているように見えますが,左岸側も森で視認性が低下していただけで,斜面崩壊は発生していました。
  • その右岸側の一つ「地点B」の斜面崩壊は,国道57号・国道325号の殆どを崩落してしまいました。
地震前後の二次元空中写真の比較

現在公開されている標高は,地震後の測量結果です。  震災前の写真とは整合性が取れなかったので,これらの写真では標高は使用していません。
  • 真上からの空中写真では,黒川の右岸側も相当程度の斜面崩壊が発生していたことがわかります。
  • 震災当時の国道は,かなり拡幅されていたことがわかります。
  • 右岸側の崩壊によって,繁茂していた森林が消えたため,黒川の河道を確認することができます。
  • また,両岸からの崩落土砂によって,河道がかなり狭まっているところも存在します。
【参考】崩壊場所で実施されたボーリング情報と発生した事象について
  • 上図左は,地震直後の空中写真に既存のボーリング位置をオーバーレイした結果です(地震発生直後のもの)。
  • 赤丸内の掘削地点は,本地震により崩壊してしまいました。
  • 簡易柱状図によると,地表からの深度約9m間は「黒ぼく(クロボク)」と「粘土質シルト」という比較的軟らかい地層です。
  • 約9mからは「粘土混じり礫層」が出現するので,地震による揺れで約9mより浅い地層が崩壊したと考えられます。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,従来公開していた「国土地理院による震災前後の3D地形(空中写真)」及び「阿蘇大橋下流右岸の国道崩壊」を集約・統合し,最新の知見を加味して内容を改訂しました。
  • 最近の知見によりわかってきたこととは,阿蘇大橋の崩落原因が「土砂によって押し流された」から「黒川沿いに伏在した断層が動いたため」に変わったことです。