2009年7月 防府市真尾地区(2009山口豪雨)の土石流
地形と地質の三次元イメージ :
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  • 2009年7月の白昼,山口県防府市を中心とした範囲で,多くの土石流が発生しました。
    特に,真尾(まなお)川の支流に発生した大規模な土石流は,真尾地区の特別養護老人ホームに流れ込みました。
  • 同ホームでは7名が犠牲となるなど,災害地全域の犠牲者は14名と,大きな土砂災害となりました。
  • 真尾地区で発生した土石流の引き金は,豪雨による斜面の 表層崩壊 と言われています。
  • 20万分の1 地質図幅『山口・見島』によると,浅層崩壊した場所の地質は「中~粗粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩」と記載されています。
    花崗岩と花崗閃緑岩は,風化によって「マサ」と呼ばれる砂層(未固結層)に近い地層になることが知られているので,斜面の地表はマサで覆われていたかもしれません。
空中写真と地形の三次元地形イメージ : 防府市真尾(まなお)地区で発生した土石流
  • 特別養護老人ホームに被害をもたらした土石流の原因は,真尾川枝谷の源頭部と言える場所で発生した[浅層崩壊」です。
  • 空中写真で見る限り,崩壊開始点は2箇所あって,それぞれ「ガリ」の源頭部のようです。
  • ガリ源頭部が崩壊し,崩壊土砂と大量の雨水に加え,堆積土砂や倒木などが支谷を一気に流れ下ったと想像できます。
浅層崩壊と土石流の状況
  • 被災した特別養護老人ホームを含む周辺一帯は,発災当時すでに「土石流警戒区域」に指定されていました(指定は平成20年)。
  • 土石流警戒区域は,河川ごとに技術的に検討した結果指定されるので,細流を含むほぼ全ての河川が指定されます。
  • しかし,実際の豪雨時に 土石流が発生する or しない を確実に予測することは難しく,特にどの河川で発生するか,は特に難しいようです。
  • よって,警戒区域内に住居のある方は常に避難を心掛けるべきでしょう。
降水量・土壌雨量指数について

参考のために,半月以上前からの雨量の状況を図化しました。連続雨量と違って,雨量ゼロによるリセットをしていないので「累積雨量」としました。
  • 特徴1 最大時間雨量を示した時刻と,土石流が発生するまでの時間差は,ほぼゼロです。
  • 特徴2 土壌雨量指数が200を越えてから,土石流が発生するまでの時間差も,ほぼゼロでした。
  • 特徴3 土壌雨量指数が200に達するより前の21日の7時45分に「土砂災害警戒警報」が発令されたので,余裕時間は4時間程度ありました。
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 今回の土砂災害(土石流)では,「最大時間雨量を示した時刻と土石流が発生するまでの時間差」と「土壌雨量指数が200を越えてから土石流が発生するまでの時間差」のいずれもが,殆ど無かったことが判明しています。
  • このような特徴は,浅い土層が滑落する「表層崩壊」が引き金になって土石流が発生する場合に多く見られるもので,このタイプの土石流は,日本全国の山地のどこでも発生する可能性があります。
  • の時間差の殆ど無い土砂災害の例としては,「2014年8月に広島市安佐南区で発生した土石流災害」が挙げられます。
    同災害は,死者74名,負傷者44名,住宅被害5,200棟以上,非住宅被害450棟以上という,甚大被害が発生しました。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページは,従来サイト「土砂災害と雨量について 2009年7月 防府市真尾地区(2009山口豪雨) 土石流の例」として公開していたページを,改題の上,最新の知見を基にして内容を更新しました。