栃木県:中禅寺湖を堰き止めた男体山
地形の特徴

火山地形,馬蹄形火口,溶岩流,ガリ,リル,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ : 男体山の火山地形と形成史(概論)
三次元地形図上でマウスクリックすると「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

1/20万 シームレス地質図 の主な凡例は,ここをクリックしてください。 別ウィンドウで表示します。
  • 諸情報を総合すると,男体火山の活動史は以下のようにまとめられます。
  • ① 活動前期: 男体山が成層火山へと成長を遂げる「②活動初期」より前の前駆火山活動です。
      大谷川(だいやがわ)を堰き止めて「中禅寺湖」を造った「華厳溶岩」などを噴出しました。
  • ② 活動初期: 山頂火口(原火口)が形成され,盛んに溶岩流などを噴出して「成層火山」の基礎を形成しました。
  • ③ 活動中期: 活動の主体が溶岩の噴出から,爆発的な噴火へと変化しました。
      大量の「火山砕屑物」が噴出され,男体山の周辺では「降下スコリア堆積物」などの地層が形成されました。
  • ④ 活動末期: 北向きの馬蹄形火口から「御沢溶岩」が噴出して男体山の北西部に流れ下りました。
地形と地質の三次元イメージ : 男体山北面と御沢溶岩流
  • 男体山の山頂には「馬蹄形火口(凹部とも)」が存在します。
    「②活動初期」では円形の「山頂火口」が形成されましたが,「③活動中期」の後半あたりで火口の北側が崩壊して馬蹄形になったようです。
  • 「御沢溶岩」は,この馬蹄形火口の北端部(▲)付近から噴出した「デイサイト・流紋岩」の溶岩流で,明瞭な「末端崖」,比較的小さな「流れ山」と「溶岩しわ」が特徴です。
  • 「日光火山群の地質」には,御沢溶岩流の噴出後に火口湖が出現した,と読み取れる記述があります。
    現在,火口湖は存在していないので,その後の火山活動により消失してしまったのでしょう。
地形の三次元イメージ :
  • 「栃木県の地球科学>日光火山群の地質」によると,大谷川を堰き止めて中禅寺湖を作ったのは,成層火山の前駆活動中に噴出した「華厳溶岩流」とのことです。 その後の溶岩流や火砕流のために,この当時の火口の場所は永遠にわからないでしょうね。
  • 「早川・松倉(2003)」は,華厳溶岩流の噴出年代を約2万年前と見積もっており,「華厳の滝」の後退速度は「約2cm/年」と推定しています。
    従って,「古華厳の滝」の形成位置は現在より400mほど下流の「白雲滝」付近かも,と想像するのも楽しいかもしれません。
地形の三次元イメージ :

左図

  • 男体山の南東斜面には,地元では「薙」と呼んでいる「巨大な筋(ガリ)」が幾本も存在しています。
  • 「放射谷」のように山麓までほぼ一直線に流れ下っているのが特徴で,麓から山頂まで「谷頭」が一気に駆け上がった,かのように見えてしまいます。

右図

  • 掌の指のような模様は,「リル」と呼ばれている小さな「洗堀」の集合体で,これらが集まってガリと呼ばれる「谷頭侵食」が始まると考えます。
  • 男体山の東南方向の麓にリルやガリが集まっている,と言うことは,この付近は火砕岩のように軟らかい岩石で覆われている,あるいは 残雪が多いため融雪期の侵食力が大きい のかもしれません。
【現場写真】

第一いろは坂を通行中,明知平越しに一瞬だけ男体山が見える場所があります。 山頂近くまで砂防堰堤が建設されています。
男体山

この登山ルートは,深田久弥の登山ルートを再現しました。
  • 深田久弥は,中禅寺湖畔にある「二荒山神社・中宮祠」境内の登拝門から歩き始めました。
  • 現在,砂防工事の関係で登山道の一部が付け替えされているので,そのルートをトレースしてみました。
  • 地形図上の標高差は約1205mです。 山頂までの登山道にはダウンの場所がほぼありません。
  • 歩行距離は約4.3kmと短い分,傾斜は旧なので,山頂まで4時間~4.5時間は必要でしょうか。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】