鹿児島県:姶良カルデラ北西の火山群[藺牟田池,米丸マール,住吉池,青敷火山]
      (日本の地質案内:鹿児島県:藺牟田池)
地形と地質の特徴

活火山,マール,火口湖,スコリア丘,火山地形

投稿者による写真とその説明 : 藺牟田池

【投稿者:大島 洋志氏】  2006年10月5日

  • 鹿児島県立自然公園の一つ、藺牟田池県立自然公園のメインである藺牟田池は,藺牟田火山の中央部にできた周囲約4kmの火口湖である。
  • 湖底は非常に浅く、湖面には低層湿原からなる浮島が見られるなど,特殊な植物が多く生育し,国の天然記念物に指定されている。
地形と地質の三次元イメージ(産総研・1/20万 シームレス地質図)
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

鹿児島県の姶良市から薩摩川内市にかけて,火山が点在していることは,意外と知られていません。
霧島と桜島が有名すぎるからかもしれませんが,当該の火山が低いことも理由の一つかもしれません。
ただ,火山体によって形態が様々なのが特徴で,複成火山の最後の段階で火山性凹地に水が溜った「火口湖」,
マグマ水蒸気爆発によってできる「マール」,火山噴出物が降り積もった「スコリア丘」が1箇所,などです。
地形の三次元イメージ : 藺牟田池(いむたいけ:火口湖)

「藺牟田池」は,「藺牟田火山」の中心部にできた,直径約1kmの「陥没性火口湖」です。
藺牟田火山が活動した年代は,新生代第四紀中期更新世(約50万年~約35万年前)です。
藺牟田火山は,円形に並んだ複数の「熔岩円頂丘」から構成されています。
「飯盛山溶岩円頂丘」は,藺牟田池(当時は陥没性凹地)が形成された後に噴火した,最も新しい火山です。
地形の三次元イメージ : 米丸マール,住吉池(住吉マール)と青敷火山

藺牟田池の南東方向,姶良カルデラに近い所に,「米丸カール」,「住吉池(住吉マール)」と「青敷火山」が,隣り合うようにして存在します。
最も古い火山は青敷火山(スコリア丘)で,藺牟田火山群と同時期がその後(約10万年以上前)と考えられています。
「住吉池」と「米丸」は,いずれも「マグマ水蒸気爆発」によってできた「マール」と呼ばれる,噴火口そのものです。
住吉池,米丸の順に活動したと言われていますが,一方に水があるのに他方にはなぜ無いのか,などはわかっていないようです。
【記事・引用情報・参考情報】

【記事】

  • 「藺牟田火山」は,リング状に並んだ複数の「溶岩円頂丘」でできている,との説があります。
    「片城山」,「山王岳」や「舟見岳」などの内側の斜面が急崖であることから,カルデラのように陥没したのでは,との説もあります。
  • 「住吉池マール」と「米丸マール(タフリング)」の最終活動年代は,今から7000年ほど前なので,2003年1月以降「活火山」に区分されました。
  • 単成火山であることと,噴火の記録が無いことなどから,今後も活動しない火山であると考えられています。
  • 住吉池南側の「別府川」河川敷に,略円形~半円形の凹地状地形が4箇所存在します。 シームレス地質図では,4箇所全て「河岸段丘」に区分されていますが,形状が米丸によく似ているため,ひょっとしたら火口では,と思わないでもありません。 資料がどこかにないでしょうか。

【引用情報】

【参考情報】

  • 有用な情報を調査中です。

【お断り】

  • 日本の地質案内ページは,旧GUPIのウェブサイト「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質案内:藺牟田池と蒲生の大楠」の一部と「日本の千景プラス:姶良カルデラ北西の火山群」を統合したものです。
  • 「蒲生の大楠」は,単独ページとして掲載しました。