熊本県:阿蘇火山の火山地形(草千里浜や砂千里浜など)
     (日本の地質百選:阿蘇)
地形の特徴

火山地形,カルデラ,陥没クレーター,火口湖,火口原,中央火口丘,火砕流(火山砕屑流)

地形と地質の三次元イメージ : 阿蘇火山
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  • 「阿蘇火山」は,南北約25km,東西約18kmという世界最大級の規模の「カルデラ」を有する第一級の「活火山」です。
  • カルデラのほぼ中央には,20を超して東西方向に連なる「中央火口丘群」がありますが,その中で「中岳」だけが,現在も活発な活動を続けています。
  • 公開されている諸情報から,阿蘇火山の形成史は以下のように要約できそうです。
    ① 約27万年前頃に阿蘇火山(先カルデラ活動)が噴火を開始して 「Aso-1 火砕流(溶結凝灰岩)」を噴出しました。 その後しばらく休止しましたが,・・
    ② 約14万年前頃になると活動が活発化して 「Aso-2 火砕流(溶結凝灰岩,火砕岩,溶岩)」を噴出しました。 引き続き,・・
    ③ 約13万年前には「Aso-3火砕流(火山灰や軽石など)」を噴出しました。 更に,・・・
    ④ 約9万年前頃には日本で最大と言われる噴火が発生して「Aso-4火砕流(溶結凝灰岩,火山灰や軽石)」を噴出し,広大な「火砕流台地」が形成されました。
      この超巨大噴火によって噴出された「Aso-4火砕流堆積物(地質図A4B)」は,九州の北・中部を広く覆い,150km以上も離れた山口県にも届いたのです。
    ⑤ Aso-4の噴火の後で陥没が発生して現在の「カルデラ(陥没クレーター)」が形成されました。
      しかし現在の知見では,この陥没が1回の噴火でできたのではなく,Aso-1以後噴火の後で徐々に陥没が発生していただろう,といわれています。
  • Aso-4カルデラの形成後,それ程時間の経過を経ることなく「後カルデラ火山活動」が始まって,数多くの火山が活動したため,現在では15を越える火口からなる中央火口丘群ができ上がっています。
  • なお,右端の「根子岳:D」は中央火口丘群で一番古い火山,と言われてきましたが,噴出物(地質図のN)の年代測定の結果,現在ではカルデラ形成前の火山とわかりました。
地形と地質の三次元イメージ : 上空西側からの阿蘇火山中央火口丘群
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  • 中央火口丘群の中で最初の活動と言われている「 鮎返ノ滝溶岩(地質図Ay)」は,阿蘇カルデラに進入した白川と黒川との合流点や,その上流の「鮎返ノ滝」付近の川底にわずかに分布しています。
    同様に,「栃ノ木溶岩(Tc)」,「立野溶岩(Tt)」や「 赤瀬溶岩(As)」も,ほぼ同じような河床付近に露出しています。
  • 一方,「研究所溶岩:V」や「沢津野溶岩:S」は,地表に露出していますが,火山という名前が付けられていません。 火口がわからないのです。
  • これらのことから,カルデラの西の端に集まっている中央火口丘群は,カルデラ形成後まもなく活動を開始したのでは,と考えられます。
  • その後,「草千里ヶ浜火山:J」などの噴出により,標高の低かった(と考えられる)先行型の火山は火口が埋もれてしまったのかもしれません。
地形と地質の三次元イメージ : 上空北側からの阿蘇火山中央火口丘群
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  • 中央火口丘群を北側から観察してみると,「高岳火山:C」と「楢尾岳火山:F」の斜面には深い谷が入り込んでいるのに対し,「草千里ヶ浜火山:J」,「杵島岳火山:I」と「往生岳火山:H」の斜面はなだらかで,わずかなガリーが認められる程度です。
  • 草千里ヶ浜火山などの特徴は,現在も活動している「中岳火山:D」の西側とも共通していることから,斜面がなだらかな火山群は最近まで活動していた,とわかります。
  • 「米塚火山:N」は,玄武岩の溶岩を大量に噴出しましたが,火口地震はスコリア丘から形成されています。
  • 「蛇ノ尾火山:O」は,米塚より古い年代に活動した「スコリア丘」です。 周囲を米塚からの溶岩流で囲まれているので,蛇ノ尾火口から溶岩流が噴出したかどうかはわかっていないそうです。

九重連山の一つ「涌蓋山」の山頂から撮影した中央火口丘群です。
左から「根子岳」,「 高岳」,「中岳」と白くたなびく噴煙で,一番右端が「烏帽子岳」と続きます。 お釈迦様が寝ている様子,とも言われています。
地形と地質の三次元イメージ : 上空東側からの阿蘇火山中央火口丘群
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  • 前述のように,「矢岳火山:A」は,巨大なカルデラができる前に活動していた火山です。
    比較的深い谷がいくつも存在すること=時間が経過している,調和的です。
  • 矢岳本体とその背後の部分を除いて,周りが陥没してカルデラが形成されたと考えられているわけですが,矢岳自体は無事だったのでしょうか。 少しは傾いたり,山頂が沈下したりしなかったのでしょうか。 今となっては突き止めることは無理なのでしょうね。
地形と地質の三次元イメージ : 上空南側からの阿蘇火山中央火口丘群
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  • 「高岳:C」の火口は楕円形を呈しており,南東側は急崖となっています。 始め円形だった火口が崩壊により半分になった,という推理をしていますが,地質図などにそれらしき記載が無いので,実際には起こらなかった事象なのでしょう。
  • 「中岳火山:D」から噴出された「溶岩流:Ny」はかなり流動性が高いようで,「御竈門山火山:L」と「中岳火山(古期山体)」との間の谷に流れ込み,現在の南阿蘇鉄道「中松駅」付近にまで達したことがわかっています。
  • 「中岳火山:D」と「草千里ヶ浜火山:J」の中間部分から流出する火山灰などの土砂(雨による侵食と運搬)は南側と北側からの河川で下流に運ばれています。 いずれにも砂防堰堤が複数設置されているので,豪雨時の押し出し量が半端ないことがわかります。
地形と地質の三次元イメージ : 阿蘇火山の中央火口丘(核心部)
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  • 「草千里浜」は,大小の二重火口を持つ「軽石丘」で,目玉のような二つの火口原湖が特徴的です。最終噴火時の火山灰が堆積した後の長い年月により,現在は草原となっています。
  • 「砂千里浜」は,「中岳(古期山体):No」の火口原です。 玄武岩質の黒っぽい砂やスコリアが厚く堆積しています。
    現在も活動を続けているのは,古期山体の内側に形成された「新規山体」を構成するNo.1~No.7にも及ぶ「新期火口群」です。
  • 中岳火口で最も活動的なのは「第1火口」です。 2016年10月8日には爆発的噴火を起こし,高さ11kmにも及ぶ噴煙が立ち上りました。
  • 楕円形の火口を持つ「御竈門山火山:L」は,中央火口丘群の中では活動時期が古かったグループに属しています。
    開析により火口壁の傾斜も緩くなって,お皿のような形状となりました。 流出口が1箇所存在します。

2015年9月14日。 宮崎県沖上空の飛行機から撮影したものです。 噴煙が2000m上空まで上り,小規模の火砕流が発生したそうです。
上の写真と,左右が逆になっており,釈迦の顔に擬せられる「根子岳」は一番右にあります。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

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