北海道:大雪火山群(旭岳,旭岳第3溶岩流,御鉢平,御倉沢溶岩流)
地形の特徴

活火山,溶岩流,カルデラ,火砕流,火山地形,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ : 大雪火山群の核心部
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  • 「大雪火山群」は,「御鉢平カルデラ」を中心とした複数の火山から構成される集合体です。
  • 諸資料を総合して,大雪火山群の活動史を「記事・活動史」に記載しました。
  • 旭岳周辺の地質年代について,20万分の1シームレス地質図では,後期更新世の「火成岩(Q3_vis_al )」と記載されていますが,5万分の1 地質図幅『旭岳』では,完新世の活動として「A1」~「A4」の溶岩流の記載があります。
    また,「佐藤・和田(2013)」では,旭岳第3溶岩流の年代を「2万年前~1万年前~6.5千年前の古い方」と評価しています。
    これによると,後期更新世後期~完新世となります。 最終決定は,今後の研究成果を待ちたいと思います。
  • 大雪火山群の特徴は長大な溶岩流が存在することで,その代表例は,北海岳から噴出した「御倉沢溶岩流」と古旭岳火山から噴出したとされる「旭岳第3溶岩流」です。
地形の三次元イメージ : 御鉢平カルデラ
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  • 「御鉢平カルデラ」は,今から約3万年前(後期更新世後期)にできたとされています。
  • カルデラの形成に伴い「火口湖」が出現しましたが,後に「赤石沢」の谷頭侵食によりカルデラ壁が崩され,湖水はすべて流れ出てしまいました。
  • カルデラ外輪山の一つである「北海岳」の脇から「御倉沢溶岩(Ml)」が流れだしたのは,今から数千年ほど前のこととされています。
地形の三次元イメージ : 御倉沢(みくらざわ)溶岩流
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  • 「御倉沢溶岩(Ml)」は,湧き出し口から末端までの形状がはっきりと残っているのが特徴です。 資料によると,長さは約6km,幅は400m~600mです。
  • 最大の特徴は,「溶岩堤防」や「溶岩ジワ」が残っていることです。
  1. 溶岩堤防: 溶岩流の両端が冷えて固まった後でも,流れの中心部は温度が高く流動性があるので山麓まで流れてしまい,連続的な凹地ができる現象です。安山岩の溶岩によく見られる現象のようです。
  2. 溶岩じわ: 流動する溶岩流の場合,表面は早く冷えるので固まりますが,中の温度は高く下流に向かって流れ続けているので,表面に圧縮応力が掛かってしわや亀裂が入ることがあります。
  • 5万分の1地質図幅『大雪山』を注視すると,御倉沢溶岩(Ml)と溶岩堤防の範囲が一致していないのに気づきました。
    完新世に噴出した「Ml」溶岩よりも,かなり以前に噴出した溶岩が(複数)存在したと考えられますが,地質図では「So」として記載されています。
地形の三次元イメージ : 高嶺ヶ原と淵無し沼
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  • 「平ヶ岳」の南北側に広がる「高根ヶ原」は,30万年ほど前という大雪山で最も古い時代の熔岩(凡忠別岳溶岩,高根ヶ原溶岩)で構成されています。
  • その東側は断崖絶壁となっており,火山噴火の物凄さと共に,溶岩が噴出した後に始まった,河川による侵食力の激しさにも驚ろかされます。
  • なお,防災科学技術研究所が発行している「地すべり地形分布図」では,平ヶ岳東側の断崖絶壁は「滑落崖」で,谷底の崖錐堆積物は「地すべり移動体」と表記されています。
地形の三次元イメージ : 旭岳第3溶岩流
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  • 最も若い「旭岳」の活動は右の3段階に分けるとわかり易いでしょう。
  1. 溶岩噴出期(~約6千年前):旭岳第1溶岩(A1)~同第3溶岩(A3)を噴出した時期です。  
  2. 円錐形火山体形成期(~約3千年前):山頂火口からの爆発的噴火によって「旭岳火山砕屑物(D)」を大量に噴出した時期です。 その結果,円錐形で「火砕丘」様の山体が形成されました。 注:20万分の1シームレス地質図では,この活動期以降の記載がありません。
  3. 水蒸気爆発期(約3千年前~):水蒸気爆発によって「地獄谷火口」や数多くの「側火口群」が形成されました。 地獄谷火口では「山体崩壊」も発生したことが知られています。 注:地質図幅『旭岳』では,この期の噴出物に関する記述はありません。 最近の知見のためでしょう。
  • 「旭岳第3溶岩(A3)」は,上記の第1期に噴出した溶岩流で,噴出源から末端部までの距離(流送距離)は約15kmです。
    最大の特徴は「溶岩堤防」と「溶岩じわ」が存在することです。
    噴出部を含む最上流部は,旭岳第2溶岩(A2)や旭岳火山砕屑物(D)に覆われていて,確認することはできません。
地形の三次元イメージ : 旭岳火山
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  • 前述のように,「地獄谷」は3千年ほど前以降に活動した大規模な「水蒸気爆発」と,その後の「山体崩壊」によって形成された「爆裂火口」です。
    火口上部の狭い範囲には,旭岳第4溶岩(A4)が分布しています。
  • 「姿見の池」,「夫婦池」や「満月池」は,水蒸気爆発によって形成された側火口で,「マール」とも呼ばれるものでしょう。
旭岳と側火山群(湖沼群)(日本百名山:旭岳)
  • 旭岳山頂へは,旭岳ロープウェイ「姿見駅」から「姿見の池」を経由して,地獄谷の左岸尾根を直登するコースが一番有名です。
    資料によって多少の差はありますが,駅から姿見の池まで約0.5時間,その後山頂まで約2.5時間程度と思われます。
【現場写真】

「姿見の池」からの「旭岳」と「地獄谷」です。 波が無ければ旭岳の反射は綺麗だったのに,と思います。 [5枚合成]

「夫婦池(鏡池)」からの「旭岳」と「地獄谷」です。姿見の池

(左)「地獄谷」とその噴気孔群です。 一番手前に並ぶ二つの噴気孔が,最も勢力が強いように感じられます。
(右上)画像中央の噴気孔と,噴出した黄色い「硫黄」です。  (右下)「玉ねぎ状風化」を受けた安山岩質の岩石。
【記事・引用情報と参考情報】

【記事・活動史】

  • 第1段階: 新第三紀中新世の後期頃(約600万年前頃)から,大雪火山群としての活動が始まりました(この年代の活動を考えない報告もあります)。
  • 第2段階: 第四紀更新世のカラブリアン期(約90万年前頃)以降に最盛期を迎え,膨大な溶岩が噴出しました。
         約50万年前以降の火山は,高根ヶ原溶岩や緑岳下部溶岩などがあります。
         約20万年前頃の火山は安足間岳や上川岳などが活動しました。
         その後3万年前頃までの間に,凌雲岳・黒岳・北鎮岳・赤岳や緑岳など御鉢平カルデラの外輪山を構成する多くの火山が噴火しました。
  • 第3段階: 約3万年前(後期更新世後期)には「御鉢平カルデラ」が形成されました。 以後は,後カルデラ火山活動になります。
  • 第4段階: 約3万年前以降現在までの活動期間で,熊ヶ岳・小旭岳や後旭岳の活動があり,その後最も新しい火山活動は「旭岳」です。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】