地図情報が間違っていたという事例
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事例その1:地図に示されたトンネルの位置が大きく違っていたというケース(その1)

(左)事故のイメージ。  (右)「地図上の長崎トンネル」は国土地理院の「地理院タイル」による。 「推定長崎トンネル」は事務局の推定による。

2019年7月11日の午前。 長崎新幹線のトンネル工事の影響で,地表水などが涸れたと言うことで,渇水対策のための井戸試掘が行われていた。
掘削用のビットが「長崎トンネル」の天井を貫通し,折から通過中の長崎発博多行きの特急かもめ16号に接触する,という事故が発生した。
掘削箇所を上図(右)に示したが,地図上の長崎トンネルからは「70m~80m」離れているようだ。
ボーリングの担当者の言では「この位置にトンネルがあることは想定外だった。」という。

この場所で井戸が試掘された経緯について,ここでは述べない。
「地図上に記載されている場所にトンネルが無かった」という地図は,筆者が知る限り「地理院タイル」,「Google Maps」と「YAHOO!地図」である(本執筆時点)。 筆者の勝手な想像を許して貰うと,
 ① JR九州の社内地図そのものが間違っていて,国土地理院などに対してその位置情報を提供した?。 ・・・。気づかないハズは無いと思うが。
 ② テロ対策などで,あえて違う位置情報を提供した?・・・。 ありうる話である。
   しかし,この場合では,鉄道工事の担当者には本当の位置を知らせるべきだと思うがどうだろう。
 ③ 地図作製者がミスし,他社はそのまま引用した。 ・・・。 これもありうる話である。

【教訓】
 地図自体にも間違った位置情報がありうることに留意し,地下掘削を行う場合には念には念を入れるべきである。
 一般人はトンネルの位置がずれていることなど調べる術が無いので,鉄道会社も正確な位置情報を発信する方法を講じるべきである。
 この件についての国土地理院の弁明はこちら


本図はイメージである。 地形情報は,国土地理院の「標高API」を使用した。
事例その2:地図に示されたトンネルの位置が大きく違っていたというケース(その2)

左)都市圏活断層図:小倉第2版:平成203月     (右)最新の地理院タイル

2019年8月2日。 国土地理院は「関門海峡鉄道トンネルの位置が,実際より南に約50mずれて記載されていた」と発表した。

平成20年3月発行の「都市圏活断層図:小倉第2版」と,最新の「地理院タイル」と比較してみた。
確かに,両者は違っていることを確認した。
注 上図(左右)に描いたトンネルのルートは,筆者が青色の線をでなぞったものであるため,正確では無い。

【教訓】
 地中の構造物の位置については,国土地理院の地図でも間違って掲載されている可能性があることがわかった。
 掘る前には,施設管理者に問いあわせるべきであると考える。