特殊地下壕とその崩壊について(その2)
地下壕の崩壊(その1) 地下壕の崩壊(その2) 地下壕の内部状況 地下壕の対策工事  
2.一度埋めた竪(立)坑や斜坑の土砂が突然ずれ込む過程(想像図)

本図は想像図です。
第一段階の例[立坑と想定される坑口の事例]
Photo 1
砂岩を掘削して作られた軍用地下壕(立坑)
  • 左は,「砂岩」を掘削して作られた「軍用地下壕」です。
  • 現在は,木の根元に開口していますが,当時この木は当然ありませんでした。
  • 高台に設置されているので,防空用の見張り所としての機能があったろうと,想像します。
Photo 2
砂岩を掘削して作られた軍用地下壕(立坑)
  • 左は,「砂岩」を掘削して作られた「軍用地下壕」です。
  • 直径が50cm程しか無いため,出入り口と言うよりも「通気口」の役目があったものと想像します。
第二段階の例[土砂などで埋め戻した事例]
Photo 3
砂岩を掘削して作られた軍用地下壕。 ①は,立(竪)坑の外側,②はその内側
  • 左(上下)は,「砂岩」を掘削して作られた「軍用地下壕」です。
    (上)は立(竪)坑の外側で,(下)はその内側になります。
  • (埋め戻しのために)土砂が投入されていますが,地下壕の空間全て埋めていないことが分かります。
  • 立坑から雨水が流れ込んでいることが確認できます。
    投入土砂は,雨水を潤滑剤にして地下壕の奥に入り込んだため,地表の凹地が発生しました。
  • 地表に変状が出ているという意味では,第三段階に入りかけている地下壕でもあります。
  • 規模と原因は微妙に異なると想像しますが, 北海道三笠市の陥没事故は同じ種類の地盤陥没になると思われます。
Photo 4
砂岩を掘削して作られた軍用地下壕(煤が付いています)
  • 左は,「砂岩」を掘削して作られた「軍用地下壕」です。
  • 戦後になって,地表に開いている立坑に対し,土砂投入により埋め戻しされました。
  • しかし,投入した土砂が,水平に掘削された地下壕の本体を埋めていないことが分かります。
  • 坑壁と坑口の角が崩落していますが,恐らく,投入した土砂の圧力で欠損したものと思われます。
Photo 5
シラスを掘削して作られた軍用地下壕
  • 左は,「シラス」を掘削して作られた「軍用地下壕」です。
  • 地表に開いている立坑から,土砂投入により埋め戻しされました。
  • しかし,投入した土砂が,地下壕本体を埋めていないことが分かります。
第三段階の例[豪雨などで,投入した土砂が地下壕の中にずれ込んだ事例]
Photo 6
(上)は,地表の状況。直径約5m,深さ約1mの陥没孔のようでした。
(下)は,地下壕の内部。 雨によって,土の成分は地下壕の底に溜っています。
  • 左は,「砂岩」を掘削して作られた「軍用地下壕」の外側と内側です。
  • (上)は,地盤の変状が認められた段階です。
     草に覆われていましたが,金属棒で探ると底まで約1mありました。
     この段階では,天盤が崩落した陥没孔だろう,という認識でしたが,実際に壕に入ると「立坑」であることが判明しました。
  • (下左)は,立坑の内部から坑口を写した画像です。
     地下壕には埋め戻し用の土が投入されていたはずですが,実際には空洞状態となっていて,立坑の坑口が沈み込んでいるのも頷けます。
  • (下右)は,地下壕の本体部(横坑)です。
     中央部分で左に分岐しているのが,件の立坑です。色の濃い土でかなり埋められていることがわかります。
     立坑の内部に詰められていた土砂が,豪雨時の水量で地下壕の奥に流され,横坑の床に溜っていることがわかります。
Photo 7
⑧は,地下壕の入り口を,⑨は水平壕を撮影。土の成分は壕の奥に消えてしまった。
  • 左は,「砂岩・泥岩」を掘削して作られた「軍用地下壕」です。
  • 斜坑から土砂を投入して埋め戻してありますが,長い年月で雨水が入り込み,粘土分は壕の奥に流れて行ってしまいました。
  • 坑口近くでは,壕(空洞)を支える土が無くなった,すなわち,
    天盤を支える力が無くなった,と考えるべきでしょう。
Photo 8
シラスを掘削して作られた軍用地下壕
  • 左は,「シラス」を掘削して作られた「軍用の地下難壕」です。
    高さと幅が共に1.8m近くある,比較的規模の大きい地下壕です。
  • 最大の特徴は,坑口から進入する大量の雨水のために,地下壕の床が侵食されていることです。
  • 流出口である狭い空洞が存在していましたので,本地下壕と共に,発泡剤を使用する埋め戻し工法により埋め戻しました。